心
『心的現象論(序説・本論)』
しんてきげんしょうろん じょせつ ほんろん
吉本隆明·現代
心を物質から記述する壮大な構想
哲学戦後思想心理
この著作について
【内容】吉本隆明が雑誌「試行」15号(1965)から74号(1997)まで30年以上にわたり連載した心的世界の理論的記述である。理科系の素養を動員し、心を物質的基盤から記述しようとする壮大な構想で、『序説』(北洋社、1971)と『本論』(文化科学高等研究院出版局、2008)から成る。生理、知覚、言語、夢などを横断的に扱う。
【影響と意義】吉本の評論的業績の理論的基層をなす著作で、『言語にとって美とはなにか』『共同幻想論』と並ぶ三大主著の一つに数えられる。フロイト精神分析、現象学、生理学、サイバネティクスを独自に綜合する構想力は、いかなる学派にも属さない孤峰の理論を生み出した。後続の思想家には大塚英志、内田樹《うちだたつる》らが影響を語る。
【なぜ今読むか】脳科学とAI論が心の問題を席巻する時代に、文学的・哲学的・生理学的アプローチを総合する本書の手法は、還元主義への対案として参照価値を持つ。一気読みできる書物ではないが、心という未知の領域に踏み込もうとする者にとって貴重な羅針盤となる。
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