真
『真理』
しんり
プロタゴラス·古代
「人間は万物の尺度である」で始まったと伝わる、ソフィストのプロタゴラスの失われた著作
哲学古代ギリシア認識論
この著作について
前5世紀ギリシアのソフィスト、プロタゴラスの著作。「人間は万物の尺度である」という一文で始まったと伝えられるが、本は失われ、後代の引用で断片が伝わるのみである。
【内容】
冒頭の文は、人間は万物の尺度である、あるものについてはあるということの、ないものについてはないということの、と続く。プラトンとアリストテレスはこの本を繰り返しアレーテイア(真理)と呼び、題をもじった言葉遊びもしていることから、題はプロタゴラス自身が付けたとみられる。学術的な論文ではなく、弟子になりうる人々に向けた公開の演示(エピデイクシス)の文章だったとする見方もある。ディオゲネス・ラエルティオス『ギリシア哲学者列伝』の著作目録にこの題は見えず、セクストス・エンペイリコスは同じ文を別の題の書に帰している。同じ書の別名とみる研究も、より大きな著作の一部とみる仮説もある。
【影響と意義】
最も重要な伝え手はプラトンで、『テアイテトス』はこの説を、知識とは感覚であるという主張と重ね、物事は私にはそう見えるとおりに私にとってある、と言い換えて検討した。ただし、この読み方は史実としては当てにならないとの見方もある。説は自分自身を覆すという批判は、デモクリトスに始まるとみられ、プラトンとアリストテレス『形而上学』第4巻に引き継がれた。相対主義の出発点とされる一方、多元主義として読む解釈もある。
【なぜ今読むか】
各人の判断に重みを置くこの説を、だれもが民会で意見を述べる権利という民主政の原理と重ねて読む研究もある。意見が割れたとき何を基準にするかという問いを、失われた一冊の冒頭が今も投げかけている。
著者
関連する哲学者と話してみる
