ギ
『ギリシア哲学者列伝』
ぎりしあてつがくしゃれつでん
ディオゲネス・ラエルティオス·古代
古代ギリシア哲学者たちの生涯と逸話を伝える貴重な伝記集
哲学
この著作について
三世紀頃、古代ローマ期のディオゲネス・ラエルティオスが編纂した古代ギリシア哲学者の伝記集で、全十巻に八十人以上の思索者の生涯と学説と逸話を収める百科全書的著作。
【内容】
本書はタレスから始まる「七賢人」、ソクラテスとプラトンのアカデメイア派、アリストテレスのペリパトス派、シノペのディオゲネスら犬儒派、ゼノンらのストア派、ピュロンとセクストスの懐疑派、ピタゴラス派を経て、最終巻をエピクロスに充てるという構成を取る。各哲学者ごとに、伝記的事実、師弟関係、学説の要約、逸話や警句、遺言や書簡が織り交ぜられ、第十巻にはエピクロスの書簡三通と主要教説がほぼ全文保存されている。逸話の出典や異説も並列で紹介され、一つの事実に複数の伝承があることが意識的に示される。
【影響と意義】
本書が失われていれば古代哲学史像の大半が失われると言われるほど、一次資料としての価値が高い。ストア派・エピクロス派・懐疑派の主要学説についての情報源として、近代以降の古代哲学研究に決定的な影響を与えてきた。逸話の真偽に慎重な吟味が必要な点も、史料批判の訓練場となっている。
【なぜ今読むか】
哲学者を聖人としてではなく、奇行と失言と機知に満ちた生きた人間として味わえる稀有な古典である。哲学が書物の中だけではなく生き方そのものだった時代の感覚を取り戻すのに、繰り返し開ける書物である。