歴
『歴史哲学講義』
れきしてつがくこうぎ
ゲオルク・ヘーゲル·近代
世界史を自由の意識の進歩として描いたヘーゲル晩年の講義録
哲学歴史
この著作について
ゲオルク・ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel)が1822年から1831年にかけてベルリン大学で繰り返した歴史哲学講義の録音的再構成。没後、弟子エードゥアルト・ガンスとヘーゲルの息子カールが学生のノートと講義草稿を編集して1837年に刊行した(原題『Vorlesungen über die Philosophie der Geschichte』)。
【内容】
序論で歴史叙述の三類型(根源的歴史・反省的歴史・哲学的歴史)を整理したうえで、世界史を「自由の意識の進歩」として規定する。続いて東洋世界(中国・インド・ペルシア)、ギリシア世界、ローマ世界、ゲルマン・キリスト教世界と、四つの段階を経て自由の理念が実現していく巨大な物語が展開される。「理性は世界を支配する」「理性の狡知」「世界史的個人」といった鍵概念が随所に登場し、ナポレオンや宗教改革がその具体例として論じられる。文体は講義録らしく平明で、『精神現象学』『大論理学』より入りやすい。
【影響と意義】
本書はマルクスの唯物史観、ディルタイの精神史、ウェーバーの宗教社会学、コジェーヴの近代性診断、フクヤマの「歴史の終わり」論まで、近代の歴史哲学のあらゆる分岐の出発点となった。東洋中心主義への批判は二十世紀以降繰り返され、ポストコロニアル理論の主要な論敵ともなってきた。
【なぜ今読むか】
歴史に意味はあるかという根源的な問いに、哲学者がどのように答えたかを追体験できる。進歩への信頼が揺らぐ時代に、進歩を語る側の論拠を正面から確認できる。
著者
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