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本居宣長《もとおりのりなが》

もとおり のりなが

小林秀雄·現代

小林秀雄の評論

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哲学

この著作について

日本近代批評の巨匠・小林秀雄が十一年にわたり『新潮』に連載し、七十代半ばで完成させた畢生の大著。

【内容】

全五十章以上に及ぶ長大な構成で、江戸中期の国学者・本居宣長《もとおりのりなが》の生涯と思想を、同時代の賀茂真淵《かものまぶち》、契沖《けいちゅう》らとの関係のなかに丁寧に位置づけ直す。古事記伝の註釈作業、『源氏物語玉の小櫛《たまのおぐし》』での「もののあはれ」論、『玉勝間《たまかつま》』の随想、漢意《からごころ》批判の意味、宣長晩年の神学的考察までが、原文をたえず引用しながら論じられる。小林はしばしば宣長に自らの批評的姿勢を重ね、「古人の肉声を聴く」という営みを、日本近代批評の根本的姿勢として掘り下げていく。

【影響と意義】

戦後日本の批評文学の金字塔として、野間文芸賞を受賞。本書以降の宣長研究、さらには近世思想史・国学研究にまで与えた影響は大きい。また批評と研究の境界を自覚的に越える書き方そのものが、柄谷行人《からたにこうじん》・蓮實重彥《はすみしげひこ》ら後続世代の批評に大きな刺激を残した。

【なぜ今読むか】

古典を研究対象として眺めるだけでなく、そこに生身の思考者を甦らせようとする粘り強い読みは、情報を高速に消費する現代の読書と対照的である。急がずに古典と向き合うための模範として、長く寄り添える書物である。

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