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経済学原理

けいざいがくげんり

ジョン・スチュアート・ミル·近代

19世紀後半の標準教科書となったミルの経済学体系書

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経済哲学

この著作について

ジョン・スチュアート・ミルが1848年に公刊した全5巻の経済学体系書。副題は「経済哲学の若干の応用を伴う」。アダム・スミス国富論以来の古典派経済学の到達点を総合し、半世紀にわたって英語圏の標準教科書の地位を保ち続けた著作である。

【内容】

第1巻「生産」、第2巻「分配」、第3巻「交換」、第4巻「社会進歩が生産と分配に及ぼす影響」、第5巻「政府の影響」からなる。ミルの最大の貢献は、生産の法則は自然法則であるが、分配の法則は社会の制度と選択の問題であるという峻別《しゅんべつ》にある。この区別によって、市場の効率性を認めつつ、累進課税・労働者協同組合・相続制限などの社会改革を合理的に論じることが可能になった。後年の版では社会主義・女性労働・定常状態経済への考察が追加され、産業の無限拡大を当然視しない成熟社会の構想も提示された。

【影響と意義】

19世紀後半の大学教育・実務家・政策論争において標準参照点となり、マーシャル『経済学原理』(1890)が登場するまで教科書の王座を占めた。ケインズ、ピグー、センらの厚生経済学の系譜にも深い影響を残す。

【なぜ今読むか】

「市場は自然、分配は選択」という区別は、現代の格差論議にもそのまま効く。分厚い古典だが、序論と第4巻だけでも現在の経済政策論に直結する視点を得られる。

著者

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