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或阿呆の一生

あるあほうのいっしょう

芥川龍之介·近代

自死直前の芥川が綴った断章形式の自伝的遺稿

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文学

この著作について

芥川龍之介が1927年、自死の直前に書き上げ、死後の遺稿として発表された短編。五十一の断章で自身の生涯を回顧する、散文詩的かつ自画像的な遺書文学の極致である。

【内容】

「時代」「母」「家」「東京」「先生」「世紀末」「海」など、短く鋭く切り出された断章が連続する。青春期の感傷、夏目漱石門下での文学修行、恋愛、病、大正末期の時代閉塞、そして最後に「敵を撃つ弾丸」となる書斎での孤独と絶望が、削ぎ落とされた一人称で記録される。末尾の「十字路にかかる夜半の雨」「僕に剣を与えよ」といった断章は、詩と遺言の境目に立つ。

【影響と意義】

歯車河童と並ぶ芥川晩年三部作の一つで、大正文学の終焉を告げる里程標的作品とされる。太宰治三島由紀夫ら後続作家にとって、「書くことと死ぬこと」の関係を考えるうえで常に参照される古典となった。「ぼんやりとした不安」という遺書の一句とともに、昭和初期の時代精神の象徴として読み継がれる。

【なぜ今読むか】

うつ病・燃え尽きが社会現象となる現代、芥川が簡潔な断章で残した精神崩壊の記録はいまも恐ろしく読み手に響く。一つ一つの断章が短いため、回想録として最後から逆に読んでいく体験も独特の重みを持つ。

著者

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