襞
『襞:ライプニッツとバロック』
ひだ
ジル・ドゥルーズ·現代
ライプニッツのモナド論を「襞」で読み直したドゥルーズの代表作。
哲学
この著作について
フランスの哲学者ジル・ドゥルーズが1988年に発表した、ライプニッツ論かつバロック芸術論の代表作である。原題は Le Pli: Leibniz et le Baroque。日本語訳は宇野邦一《うのくにいち》により河出書房新社から1998年に刊行され、2015年には新装版が出された。後期ドゥルーズの集大成のひとつに数えられる。【内容】ライプニッツのモナド論を「襞《ひだ》」という独自の概念で読み直し、無限に折り畳まれる物質と魂の構造を、バロック芸術、建築、絵画、音楽、数学と並行的に論じる。上下二階建ての家屋の比喩、無限小解析、襞の中の襞という構造、共可能性と不共可能性の議論を通して、世界を「襞の襞」として把握する独自の存在論が展開される。物質の襞と魂の襞の二重性、世界を内に包みつつ表現するモナドの構造が、バロックの誇張的な造形と響き合う。【影響と意義】ライプニッツ研究を哲学史の枠を超えて美学・芸術理論・建築論に開いた点で画期的である。建築家ピーター・アイゼンマンや美術理論家らに広範な影響を与え、ポストモダン以降の表象論・物質論・新しい唯物論の重要な参照点となった。【なぜ今読むか】滑らかな世界像が崩れ、複雑な襞の中で考えることが求められる現代において、襞の哲学は思考のモデルとしてなお新鮮である。

