不
『不平等の再検討』
ふびょうどうのさいけんとう
アマルティア・セン·現代
ケイパビリティ概念で不平等を捉え直したセンの主著
哲学経済社会
この著作について
アマルティア・センが1992年に公刊した経済哲学書。ケイパビリティ(潜在能力)概念の理論的定式化として、センの業績を集約する重要著作。
【内容】
センは「何について平等を目指すのか」という問いから議論を始める。所得・財・効用・福祉のいずれを平等化しても、個人差(障害・性別・地理的条件)により実際に達成できる自由の範囲は異なってしまう。そこでセンが提唱するのが「ケイパビリティ」—人が「なりうる状態(being)」と「できること(doing)」の集合—を平等の尺度とする視座である。これによりロールズ的基本財アプローチや功利主義的効用アプローチを批判的に乗り越える。
【影響と意義】
本書はマーサ・ヌスバウムと共に人間開発指数(HDI)の理論的基礎となり、国連開発計画(UNDP)の人間開発報告書の枠組みに採用された。開発経済学・ジェンダー論・貧困論・民主主義論に深い影響を与え続けている。
【なぜ今読むか】
「格差」を単なる所得差としてではなく、人が実際に自分の人生を生きる自由の差として捉える視座は、現代の貧困・教育・福祉の議論に不可欠。