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帝国主義論

ていこくしゅぎ ろん

レーニン·現代

レーニンの帝国主義分析

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哲学

この著作について

レーニン第一次世界大戦の最中にチューリッヒの亡命先で書き上げた経済学的パンフレットであり、大戦の根源を資本主義の変質に求めた革命戦略の書。

【内容】

ホブソンやヒルファディングらの先行研究を下敷きにしつつ、現代資本主義を「自由競争から独占への移行」として特徴づける。独占資本・金融資本と産業資本の融合・商品輸出から資本輸出への転換・国際的な独占団体の形成・列強による世界領土の分割完了という五つの指標を挙げ、帝国主義を「資本主義の最高かつ最後の段階」と位置づける。そこから、世界大戦は各国資本のあいだの分割と再分割の戦いにほかならず、被抑圧諸民族の解放闘争と社会主義革命は同じ地平で結びつくという結論が導かれる。

【影響と意義】

一九一七年のロシア革命を理論的に支え、その後のコミンテルンや中国革命、さらにはアジア・アフリカ・ラテンアメリカの民族解放運動に大きな思想的影響を与えた。従属理論や世界システム論など、グローバル経済の不平等を扱う現代の議論の遠い祖先でもある。

【なぜ今読むか】

グローバル企業と国家の結びつき、資源をめぐる争い、南北格差はいまも主要な論点である。賛否はあれど、百年以上前に書かれた本書の枠組みが現代の地政学を論じる語彙に生き残っていることを確かめるのは、思想と現実の関係を考える良い機会になる。

さらに深く

【内容のあらまし】

本書は一九一六年、第一次世界大戦の最中にチューリッヒの亡命先で書かれた。冒頭でレーニンは、戦争を「ドイツ対イギリス」という単純な対立で説明する立場を退ける。戦争の本当の原因は、それぞれの陣営が世界市場と植民地をどう分割するかをめぐる、資本の根深い構造的対立にある、と彼は宣言する。本書の課題は、この構造を経済データで明らかにすることである。

第一章から第五章までは、現代資本主義の特徴を五つの指標で順に検証していく。第一の指標は生産と資本の集中による独占の形成である。アメリカやドイツの主要産業で、わずかな企業が市場の大半を握っている数字が示される。第二の指標は銀行の役割の変化で、商業銀行が単なる仲介者から産業を支配する金融資本に成長した過程が描かれる。第三の指標は商品輸出から資本輸出への移行である。本国で過剰となった資本が、植民地や後進国に投下され、より高い利潤を求めるようになる。

第四の指標は、独占資本同士による国際的な企業連合の成立である。石油、化学、電機、海運といった分野で、列強の独占体が世界をブロック分けしていく。第五の指標が、列強による地球上の領土の分割完了である。一九〇〇年前後にアジア・アフリカ・太平洋の白地はほぼ消え、これ以降の領土再分配は既存の植民地を奪い合う戦争という形でしか起こり得ない、と論じられる。第一次世界大戦はまさにそうした再分割戦であり、戦争の経済的根拠が浮かび上がる。

後半でレーニンは、帝国主義を「資本主義の最高にして最後の段階」と位置づける。独占はもはや自由競争に戻れず、停滞と寄生性を強め、本国では金融寡頭制が、植民地では民族抑圧と従属が深まる。被抑圧諸民族の独立闘争と、本国プロレタリアートの社会主義革命が同じ地平で結びつく根拠が、ここに置かれる。多くの統計表と引用に支えられた本書は、ロシア革命を理論的に基礎づけるとともに、二十世紀のアジア・アフリカの民族解放運動、戦後の従属理論、世界システム論にいたる長い思想的系譜の出発点となった。

著者

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