死
『死の家の記録』
しのいえのきろく
ドストエフスキー·近代
シベリア流刑体験をもとにした獄中観察の半自伝的長編
文学
この著作について
ドストエフスキーが1849年のペトラシェフスキー事件で死刑判決を受け、減刑されシベリアのオムスク監獄で四年を過ごした体験をもとに、1860〜62年に発表した半自伝的作品。
【内容】
貴族出身の語り手ゴリャンチコフが、農奴殺害の罪で流刑された架空の人物として設定され、監獄で共に暮らす殺人犯・盗賊・密輸業者・放火犯たちの生態を淡々と記録する。絶望的な労働、鞭打ち刑、クリスマスの芝居、銭湯、犬や鷲との交流、脱走未遂など、地獄の底でも人間らしさを失わない囚人たちの細部が描かれる。語り手自身の思想的変化、貴族と民衆の絶望的な隔たりへの気づきが通奏低音をなす。民衆のなかに宿る信仰心と、知識人の無力感との対比が、のちの長編群に現れる主題を予告する形で提示される。
【影響と意義】
後の『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』に通じる人間観・宗教観の原型を提供し、トルストイ『復活』、ソルジェニーツィン『収容所群島』への直接の系譜を形作った。
【なぜ今読むか】
監禁・格差・孤立という現代的主題の起点にある作品として、今も息を呑む迫力で迫る。
著者
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