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『グランドホテル・アビス:フランクフルト学派の肖像』
ぐらんどほてる あびす ふらんくふるとがくはのしょうぞう
スチュアート・ジェフリーズ·現代
フランクフルト学派の人物群像を物語る英語圏の集合伝記
哲学フランクフルト学派社会思想
この著作について
【内容】英国のジャーナリストで美術批評家のスチュアート・ジェフリーズによるフランクフルト学派の集合伝記である。原書 Grand Hotel Abyss: The Lives of the Frankfurt School は2016年にヴァーソ社から刊行された。書名はルカーチが社会理論家たちを揶揄して呼んだ『奈落のグランドホテル』に由来する。ヴァルター・ベンヤミン、テオドール・アドルノ、マックス・ホルクハイマー、ヘルベルト・マルクーゼ、エーリッヒ・フロム、ユルゲン・ハーバーマスら主要メンバーの個人史と思想を、ワイマール期から戦後アメリカ、現代に至る文脈に置き直して描く。
【影響と意義】学派の理論を一冊の通史として掴ませる入門書として英語圏で広く読まれた。哲学的・社会学的な専門解説と人物伝の語り口を交差させる手法は、批判理論を初めて手に取る読者にとっての導線として機能する。日本の細見和之『フランクフルト学派』などの概説書と並べると、英米から見た受容史の差異が浮かび上がる。邦訳は刊行確認に至っていない。
【なぜ今読むか】啓蒙の弁証法やアウラ論を断片的にしか知らない読者にとって、複数の理論家の人生を交差する語りは思想の動機を立体化する。文化産業批判やファシズム分析の現代的射程を考えるための見取り図となる。