あ
『あれか、これか』
キルケゴール·近代
美的生活と倫理的生活の二者択一を迫る実存的著作
哲学
この著作について
キルケゴールが1843年に匿名の編者ヴィクトール・エレミタの名で公刊した、実存主義の出発点に位置する著作。
【内容】
「ある老人の遺した書類のなかから見つかった」という装いの二部構成。前半は美学青年Aの手記で、享楽を追う「美的実存」の魅力とその空虚さが、誘惑者の日記や音楽論などを通じて描かれる。後半は裁判官Bの手紙で、結婚と職務を引き受ける「倫理的実存」の意義が論じられる。両者を弁証法的に統合する代わりに、キルケゴールはどちらかを主体的に選び取る決断『あれか、これか』こそ、人間の本来のあり方だと示した。
【影響と意義】
ヘーゲルの壮大な体系哲学が「全てを媒介する」と約束したのに対し、キルケゴールは媒介不可能な個人の選択を突きつけた。この転回が、のちにサルトルの「選択」の哲学やハイデガーの「決断」概念に直接つながり、実存主義の原型となった。
【なぜ今読むか】
「結婚するがよい、君は後悔するだろう。結婚しないがよい、君はやはり後悔するだろう」という有名な一節は、人生の選択の重みを鋭く突きつける。人生の岐路で立ち止まった時に開きたい一冊。