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『パリ・ロンドン放浪記』
ぱりろんどんほうろうき
ジョージ・オーウェル·現代
皿洗い労働と浮浪生活を内側から描いたオーウェルの出発点
文学社会
この著作について
ジョージ・オーウェルが1933年に発表した自伝的ルポルタージュ。本名エリック・ブレアからペンネーム『ジョージ・オーウェル』への改名と共に出版され、彼の作家としての出発点となった一冊。
【内容】
前半はパリで皿洗いとして働いたホテル・レストラン業界の過酷な労働と、シラミだらけの安宿での貧窮生活を、観察者の冷静さで描く。後半はロンドンで浮浪者となり、救貧施設を点々としながら経験した英国の「貧困の下層」を記録する。オーウェルは知識人としての自分の立場を括弧に入れ、身体を持った当事者として底辺の人びとと日々を共有し、そこから見える社会の仕組みを静かに告発する。英国の浮浪者法制と救貧行政への批判も組み込まれる。
【影響と意義】
20世紀の「潜入ジャーナリズム」の源流の一つ。のちの『ウィガン波止場への道』『カタロニア讃歌』へと続く社会ルポの系譜の出発点であり、バーバラ・エーレンライクやギュンター・ヴァルラフら後続の潜入取材作家に大きな影響を与えた。
【なぜ今読むか】
格差と不可視化された貧困が再燃する現代、下層からの視点を回復させるためのモデルとなるテクスト。
著者
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