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学問芸術論

がくもんげいじゅつろん

ジャン=ジャック・ルソー·近代

ルソーを一夜にして思想家たらしめた第一論文

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哲学

この著作について

1750年刊。ディジョンのアカデミー懸賞に応募して当選したルソーの処女論文で、「学問と芸術の復興は道徳の浄化に寄与したか」という問いに「否」と真正面から答えた挑発的な論考。

【内容】

本書はまず、古代スパルタ・共和政ローマ・原初のキリスト教共同体の素朴さと徳とを、アテナイ・帝政ローマ・近世フランスの洗練とを対比させる。学問と芸術は、贅沢・虚栄・不平等・不誠実を生み、本来の徳を覆い隠す装飾にすぎないという診断が、修辞的な情熱とともに展開される。技術進歩と社会的平等や幸福とは一致しないどころか、しばしば逆行するという論法は、のちの人間不平等起源論社会契約論の出発点となる。歴史上の優れた人物が学問なしに徳を実現した事例が列挙され、逆にアテナイ・ローマ帝政が学問の隆盛とともに堕落した経緯が対比的に描かれる。

【影響と意義】

懸賞当選によりルソーは一夜で有名になり、啓蒙のただなかで「文明批判」の声を代表する存在となる。ヴォルテールとの不和、百科全書派との緊張も、本書の姿勢から始まっている。

【なぜ今読むか】

技術進歩と人間の幸福の関係が再び問われる時代、三百年前の最初の警鐘はなお有効である。

著者

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