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愛の終わりについて

あいのおわりについて

アラン・ド・ボトン·現代

結婚後の愛の現実を描いたド・ボトンの長編エッセイ小説

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エッセイ文学

この著作について

イギリスの作家アラン・ド・ボトン(Alain de Botton、1969〜)が2016年に刊行した『The Course of Love』の邦訳である。デビュー作『愛について(Essays in Love)』から二十年余を経て、結婚後の愛の現実を主題に書かれた小説仕立ての続編的位置を占める作品である。

【内容】本書はラビとカースティンというエディンバラ在住のカップルの出会いから、結婚、子育て、倦怠、不貞の誘惑、和解までを時系列で描く。地の文に著者による哲学的注釈が随所に挿入され、各場面で何が起きているのかをロマン主義的恋愛観と対比しながら解きほぐしていく。「ロマン主義は二十世紀最大のフィクションであり、その影響下で結婚生活は必然的に失望する」という診断のもと、相手の欠陥を許容する成熟、自分の幼児的部分を認める内省、愛は感情ではなく学習されたスキルだという視点が示される。

【影響と意義】「日常の哲学」というジャンルを世界的に広めるきっかけとなった著作で、以後の哲学のなぐさめ旅する哲学愛についてなどに連なる著者の仕事の発展形である。哲学と文学、エッセイと小説の境界を越えるスタイルは、ジョン・アームストロングらと共同設立した「人生の学校」の対話型カウンセリングと地続きにある。アタッチメント理論や認知行動療法の知見を平易な小説の形に翻案した点でも、現代の愛情論として参照される。

【なぜ今読むか】結婚や長期パートナーシップの倦怠と再生に直面する読者にとって、本書はロマン主義的幻想と決別し、関係を学習可能な技芸として捉え直すための実用的な伴走者となる。

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