旅
『旅する哲学』
たびするてつがく
アラン・ド・ボトン·現代
日常の哲学を世界に広めた旅のエッセイ
哲学
この著作について
スイス出身のエッセイスト・アラン・ド・ボトン(Alain de Botton、1969〜)が2002年に刊行した『The Art of Travel』の邦訳である。安引宏訳で集英社から2004年に刊行された。
【内容】
本書は旅という日常的経験を哲学・文学・美術の視点から再構成する。出発前の期待、空港・列車・ホテルといった移動の場の魅力、未知の風景がもたらす崇高感、案内書と現実のずれ、目的地での退屈、そして帰還後の記憶までを五部構成で論じる。各章はボードレール・フローベール・ゴッホ・ホッパー・ワーズワースなど芸術家を案内人に立て、彼らの作品を通じて旅の経験を読み解いていく。分析が笑いを誘う局面も多い。
【影響と意義】
「日常の哲学」というジャンルを世界的に広めるきっかけとなった著作で、以後の『哲学のなぐさめ』『愛の終わりについて』などに連なる著者の仕事の出発点である。哲学と文学、エッセイと小説の境界を越えるスタイルは、ジョン・アーミテージら旅行人類学にも影響を与えた。世界20以上の言語に翻訳されている。
【なぜ今読むか】
海外旅行が再び日常化したいま、旅の意味を問い直す手引きとして読みやすい。退屈さや裏切りも含めた旅の経験を引き受ける哲学を提供してくれる。