仮
『仮面の告白』
かめんのこくはく
三島由紀夫·現代
自らの性的・実存的内面を仮面のまま告白した三島初期の代表作
文学
この著作について
三島由紀夫が1949年に発表した長編小説。24歳の無名作家が自らの内面を赤裸々に書いた作品で、戦後日本文学に強烈な衝撃を与えた出世作。
【内容】
主人公「私」は自身の誕生記憶から語り始め、幼少期からの同性への性的憧れ、美少年への執着、血と死への倒錯的魅惑を告白していく。戦争下に婚約相手の園子との関係のなかで「普通の男」を演じようとするが、身体が応えないことに気づき、仮面の下に無感覚な自分を見出す。告白の形式そのものが自己形成の演技でもあるという、入れ子の構造を持つ。
【影響と意義】
本書は戦後日本文学に、自意識・性・身体をめぐる徹底した自己分析の水準を持ち込んだ。三島はこれを出発点として『金閣寺』『潮騒』『豊饒の海』四部作へ展開し、20世紀後半の日本文学を代表する作家へと成長する。海外でも Mishima Yukio の名を知らしめた最初期の翻訳対象となった。
【なぜ今読むか】
自分を偽る苦しみと、偽り続けることでしか保てない自己像の逆説を、これほど冷徹に言語化した作品は稀である。現代のアイデンティティ論にも直結する古典。
著者
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