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三島由紀夫·現代

伊勢湾の離島を舞台にした三島中期の素朴な恋愛小説

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文学

この著作について

三島由紀夫が1954年に発表した中編小説。伊勢湾の神島を舞台にモデルとしたフィクションの「歌島」で、若い漁師の新治と若い海女初江の恋愛を描いた、三島文学のなかでは例外的に明るく素朴な作品である。

【内容】

ギリシア古典『ダフニスとクロエ』を下敷きにした構成で、若く純真な漁師の新治が島一番の富豪の娘・初江と恋に落ちる。親の反対、噂の流布、試練としての漁船の嵐をくぐり抜け、最終的に二人の愛が認められる。三島の他作品に特徴的な倒錯・頽廃・暴力は影を潜め、自然・肉体・労働の素朴な賛歌が全編を貫く。

【影響と意義】

1954年新潮社文学賞受賞。谷口千吉・森谷司郎ら五度の映画化(山口百恵・三浦友和主演版が有名)で国民的ロングセラーとなった、戦後日本文学の代表的名作の一つ。島の自然描写・海女文化の生活感覚・純愛の古典的構成は今も色あせず、海外翻訳も多い。

【なぜ今読むか】

三島作品の頽廃的イメージに躊躇する読者にもお勧めできる、純朴な青春小説の古典。労働と自然と恋愛が一体化する生の形式を、わずかな中編で体感できる。

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