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ホーキング、宇宙を語る

ほーきんぐ うちゅうをかたる

スティーヴン・ホーキング·現代

現代宇宙論を一般向けに解説したホーキングの世界的ベストセラー

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科学

この著作について

イギリスの理論物理学者スティーヴン・ホーキングが、現代宇宙論の成果を一般読者に向けて書き下ろした、世界的ベストセラー(原題『A Brief History of Time』)。

【内容】

本書は、古代から相対性理論、量子力学に至る物理学の歴史を簡潔に振り返る。続いて、膨張する宇宙とビッグバン宇宙論、ブラックホールの性質と「ホーキング放射」による蒸発、時間の矢(熱力学的、宇宙論的、心理的)、虚時間仮説、量子重力の試み、宇宙に始まりと終わりはあるのかという問いまでが、数式をほぼ使わずに語られる。「宇宙はなぜこのように存在するのか」「物理法則を可能にしているものは何か」という哲学的問いへの言及も印象的である。

【影響と意義】

サイエンスコミュニケーションの記念碑的成功作として、世界で一千万部以上を売り上げ、宇宙論・理論物理学への一般的関心を大きく高めた。哲学の分野でも、時間、始まり、因果、神の役割といった問いに新たな刺激を与えた。

【なぜ今読むか】

最先端の物理学が存在論的な問いと交差する知的興奮を、専門知識なしに味わえる一冊である。短い章立てで読み進めやすい構成も魅力で、宇宙と自分の存在の不思議を味わい直したい人に適した書物である。

さらに深く

【内容のあらまし】

冒頭でホーキングは、宇宙論の問いがいかに古くから人類を悩ませてきたかを描く。アリストテレスの天動説、プトレマイオスの周転円、コペルニクスの地動説、ガリレオとケプラーの観測、ニュートンの万有引力。素朴な世界像が次々と書き換えられた歴史を駆け足で追う。続いて二十世紀の二つの革命、相対性理論と量子力学が紹介される。光速度不変から導かれる時間と空間の融合、重力が時空の歪みであるという一般相対性理論の発想が、エレベーターの思考実験などを通じて噛みくだいて説明される。

中盤の主役はブラックホールである。重い恒星が燃え尽きて重力崩壊を起こすと、光すら脱出できない領域が生まれる。事象の地平面、特異点、回転するブラックホールの形状。ホーキングは自身の研究成果を語り出す。地平面の面積は決して減らないという定理は熱力学の第二法則と似ている。すると地平面には温度があるはずだ。量子効果を考慮すると、ブラックホールはわずかに光と粒子を放射し、ゆっくりと蒸発する。これがホーキング放射である。

後半で議論は時間そのものに移る。エントロピーが増大する熱力学的時間の矢、宇宙が膨張する宇宙論的時間の矢、記憶が過去にしか向かわない心理的時間の矢。三つはなぜ同じ向きを指すのか。続いて虚時間という発想が登場する。時間軸を数学的に虚数方向に回転させると、宇宙の始まりに「特異点」を置かずに済むかもしれない。境界のない宇宙という仮説のもとで、「ビッグバン以前は何だったか」という問い自体が意味を失う様子が示される。

終章で語られるのは統一理論への展望である。重力と量子力学を結びつける究極の理論ができたとき、われわれはなぜ宇宙が存在するのかという問いに近づけるのか。ホーキングは結びで、いつかすべての人が宇宙の意味を議論できる日が来れば、それは人間の理性の最大の勝利だと書いて筆を置く。

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