治
『治癒の書』
ちゆのしょ
アヴィセンナ·中世
論理学・自然学・数学・形而上学を網羅したアヴィセンナの哲学大全
哲学
この著作について
イスラム黄金期の哲学者イブン・スィーナー(ラテン名アヴィセンナ)が11世紀前半に執筆した、論理学・自然学・数学・形而上学を網羅する哲学大全。
【内容】
本書は「魂の治癒」を目指すと題され、アリストテレス哲学を基礎としつつ新プラトン主義を統合した独自の体系を展開する。形而上学の部では存在の本質と存在の区別、必然的存在者《そんざいしゃ》としての神、可能的存在者としての被造物、普遍と個別の関係などが論じられる。自然学では運動・魂・感覚・想像力・知性の諸段階を精緻に分析し、後のラテン世界の魂論に強い影響を与えた。論理学・数学も当時として最先端の内容を含む。
【影響と意義】
本書はアラビア語・ヘブライ語を経てラテン語に翻訳され、中世ヨーロッパ大学での哲学教育に大きな影響を与えた。トマス・アクィナス、ドゥンス・スコトゥスら西欧スコラ学者にとって、アリストテレス受容の重要な媒介となった。現代でもイスラム哲学研究と存在論史の基本文献。
【なぜ今読むか】
東西を結ぶ中世哲学の豊かさを知る窓口。日本ではあまり馴染みがないが、人類思想史における位置づけは極めて大きい。
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