自分を好きになれない
自己受容ができず苦しんでいる
この悩みについて
鏡を見て落ち込む。自分の性格が嫌い。あの人みたいになりたかった。ありのままの自分を受け入れられない苦しみは、静かに心を蝕みます。
「まず自分を好きになりましょう」というアドバイスが、好きになれないからこそ辛い。「自分を好きになる方法」を検索しても、しっくりくる答えが見つからない焦りもありますよね。
【哲学はこの悩みをどう見るか】
フロムは『愛するということ』で、他者を愛するためにはまず自分を愛する必要があると述べました。しかしそれは「ナルシシズム」ではなく、自分という存在を「配慮し、尊重する」態度のことです。
ニーチェは「運命愛(アモール・ファティ)」の思想で、自分の人生のすべてを、苦しみも含めて「もう一度あってもいい」と肯定できるかを問いかけました。
仏教の龍樹は『中論』で、固定的な「自己」は存在しないとする「空(くう)」の思想を展開しました。嫌いな「自分」もまた実体のないもので、変化し続ける存在なのだという視点です。
【ヒント】
自分を「好きになる」のが難しければ、まずは「嫌わない」ことから始めてみてもよいかもしれません。自分に対して、友人に接するような優しさを向けてみることが、小さな変化の始まりになるかもしれません。
さらに深く
【実践に使えるアプローチ】
■ 「自分を好きになる」から「自分と折り合いをつける」に変える
フロムは、自分を愛せない人ほど過剰に自分への注目に縛られると指摘しました。「好きにならなければ」と力んでも逆効果になりやすいです。まず「自分を嫌わない」ことから始めてみてください。自分の嫌な部分を否定するのではなく「なぜそうなったのか」という背景の中に置いてみる。批判より理解の態度で自分を見ると、少し息がしやすくなります。
■ 自分に友人と同じ優しさを向けてみる
ニーチェは「運命愛(アモール・ファティ)」として、自分の人生のすべてを、欠点も含めて肯定する在り方を説きました。友人が「自分が嫌い」と打ち明けてきたら、あなたはどんな言葉をかけますか。その言葉を、今の自分に向けてみてください。自分に対して友人に接するような優しさを持つ習慣を「セルフ・コンパッション」と言い、研究でも効果が確かめられています。
【さらに学ぶために】
エーリッヒ・フロム『愛するということ』は自己愛と他者愛の関係を深く論じた名著です。クリスティン・ネフ『セルフ・コンパッション』は自己批判に代わる自己との向き合い方を実践的に提示してくれます。







