反
『反時代的考察』
はんじだいてきこうさつ
ニーチェ·近代
若きニーチェが時代精神に挑んだ4篇の批評論集
哲学歴史
この著作について
ニーチェが1873年から1876年にかけて発表した四篇の論考からなる初期の批評論集。バーゼル大学教授だった青年ニーチェが、勝利に酔うドイツ帝国の文化状況に強烈な異議を申し立てた問題作である。
【内容】
第一篇「ダーフィト・シュトラウス、告白者にして著述家」では、普仏戦争勝利後の俗物化したドイツ「教養」を体現する神学者シュトラウスを徹底的に揶揄する。第二篇「生に対する歴史の利と害」が最も重要で、過剰な歴史意識が現在の創造を窒息させると警告し、「記念碑的」「骨董的」「批判的」という三つの歴史利用を腑分けする。第三篇「教育者としてのショーペンハウアー」は若きニーチェの自伝的告白であり、第四篇「バイロイトのリヒャルト・ワーグナー」はワーグナーへの賛辞だが、後にニーチェ自身が苦々しく振り返ることになる。
【影響と意義】
ハイデガー、フーコー、デリダら20世紀の思想家が繰り返し参照した。とりわけ第二篇の歴史批判は、ヘーゲル以後の歴史主義に対する最も鋭利な批判として、20世紀の歴史哲学・記憶論・トラウマ研究の出発点となっている。
【なぜ今読むか】
情報過多に窒息する現代こそ、「過去を背負いすぎず、いま生を肯定する力」を説く本書の処方箋が効く。記念日と記憶のあふれる時代に、忘却の積極的価値を再発見させる古典である。
著者
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