歴
『歴史の概念について』
れきしのがいねんについて
ベンヤミン·現代
亡命と自死の直前に残されたベンヤミン最後の思索
哲学歴史
この著作について
ヴァルター・ベンヤミンが1940年、ナチス占領下のフランスを逃れる途上で書き残した遺稿群。いわゆる「歴史の概念について(歴史哲学テーゼ)」として編纂される、彼の最後の理論的考察である。同年9月、スペイン国境で越境を阻まれたベンヤミンは自死し、この草稿は友人に託されてフランクフルト学派のもとに残された。
【内容】
全18のテーゼとその補遺からなる短い断章群。歴史主義的な「進歩」観を徹底的に批判し、歴史を勝者の連続ではなく、踏みつけられてきた敗者と犠牲者の側から読み直すことを求める。パウル・クレーの天使絵「新しい天使」に着想を得て、過去から未来へではなく、未来から過去へ顔を向けたまま強風に吹き飛ばされていく「歴史の天使」のイメージを提示する。メシア的救済と唯物論的歴史観の緊張関係が、断章形式のまま極限まで凝縮されている。
【影響と意義】
フランクフルト学派、ポストモダン歴史観、ポストコロニアル研究、記憶の政治学のほぼすべてにとっての共通出発点となった。アガンベン、アーレント、ハーバーマス、ジジェクらがそれぞれの文脈で繰り返し注釈を加えてきた。
【なぜ今読むか】
「進歩」という語が再び信じにくくなった時代に、歴史を勝者ではなく敗者の側から立て直す思考の型が必要な読者に、今なお鋭く響く短篇である。
著者
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