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空の思想史

くうのしそうし

立川武蔵·現代

インドから東アジアに至る空の展開を通観する

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哲学文化・宗教

この著作について

チベット仏教を含むインド・東アジア仏教の幅広い研究で知られる立川武蔵《たちかわむさし》が、「空」の思想史を地域横断的にまとめた講談社学術文庫の通史。

【内容】

本書はまず、初期仏教の「無我」論と、それに続くアビダルマ学派の細緻な存在分析から話を起こす。続いて般若経《はんにゃきょう》典群における「空」の語彙の登場、龍樹《りゅうじゅ》の中観派の確立、アサンガ・ヴァスバンドゥらの唯識《ゆいしき》派による「三性説」との対話、清弁《せいべん》と月称《げっしょう》の中観自立派・帰謬派の論争が整理される。第二部では舞台が移り、鳩摩羅什《くまらじゅう》の訳経による中国への伝播、三論宗・天台宗・華厳宗・禅宗での空の受容と変容、そしてチベット仏教ゲルク派における論争が論じられる。日本の空海《くうかい》や道元《どうげん》に至るまで、空の概念が地域ごとに異なる文化的文脈で深化していった過程が描かれる。

【影響と意義】

日本語で書かれた空の思想の地域横断的概説として、仏教思想を大きな見取り図で把握するのに有用とされ、仏教学の教育現場で広く参照されている。

【なぜ今読むか】

瞑想や「空」「無」をめぐる実践に関心を持つ人が増えるなか、その背後にある二千年の思想史を一冊で確かめることは、表面的な流行から一歩踏み出すための鍵となる。

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