荒
『荒野のおおかみ』
こうやのおおかみ
ヘルマン・ヘッセ·現代
中年知識人の内的分裂を描くヘッセ中期の自伝的長編
文学
この著作について
ヘルマン・ヘッセが1927年に公刊した長編小説。『シッダールタ』『デミアン』に続くヘッセ中期の自伝的作品で、中年期に入った知識人の分裂した精神を赤裸々に描き、1960年代カウンターカルチャー世代に熱狂的に支持された現代の古典である。
【内容】
50歳近い孤独な文学者ハリー・ハラーは、自分を「人間と荒野のおおかみ(ステッペンヴォルフ)の二重存在」と感じ、市民社会への嫌悪と精神的貴族性への自負の間で引き裂かれている。ダンスホールで出会った若い女性ヘルミーネに導かれ、ダンス・享楽・性といった軽やかな世界を経験し、最後は幻想的な「魔術劇場」で自分自身の多層性と向き合う。モーツァルトの音楽と自己の解体が交錯する結末は、後のニューエイジ的精神風景を先取りする。
【影響と意義】
同時代の精神分析(ユング派との交流)と対話しつつ書かれ、中年期危機(ミッドライフ・クライシス)の文学的古典となった。60〜70年代の反体制運動の精神的必読書ともなり、バンド「ステッペンウルフ」の名の由来にもなっている。
【なぜ今読むか】
中年期の空虚と分裂、そして再統合の可能性を描く文学として、いまも多くの読者を揺さぶり続けている。
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