親
『親鸞《しんらん》聖人絵伝』
しんらんしょうにんえでん
作者不詳·中世
浄土真宗開祖・親鸞の生涯を描く絵巻物の総称
宗教日本
この著作について
鎌倉後期から近世まで繰り返し制作された、浄土真宗の開祖・親鸞の生涯を描いた絵巻物の総称。曾孫の覚如が1295年に編纂した『親鸞聖人伝絵(御伝鈔)』を祖型として、多くの異本・系統が伝存する、日本仏教絵伝の代表作群である。
【内容】
親鸞の出生、比叡山での修行、法然《ほうねん》門下への参入、関東流罪、京都帰還、『教行信証』の完成、そして90歳での入滅までの主要場面を描く。特に越後流罪後の関東布教、七高僧からの法の継承、六角堂夢告の場面、そして吉水時代の法然との出会いなどが、繊細な大和絵の筆致で視覚化される。全2巻・4巻・6巻・12巻本など系統差があり、本願寺所蔵本などが文化財指定を受けている。
【影響と意義】
『一遍《いっぺん》聖絵』『法然上人絵伝』と並ぶ鎌倉仏教絵伝三大作品の一つ。真宗十派(本願寺派・大谷派ほか)の教義の視覚的伝達手段として、数百年にわたり寺院・民家で活用されてきた。近代以降は末木文美士・山本幸司ら中世仏教史研究の一次資料として重要性を増している。
【なぜ今読むか】
中世の民衆仏教の実像を映像的に理解するために、最良の視覚史料の一つ。親鸞の思想と生涯を文字資料だけで読むよりも、場面ごとの絵と詞書の連なりで追うほうが立体的に理解できる。