青
『青年ルター』
せいねんるたー
エリク・H・エリクソン·現代
ルターの回心を分析した心理歴史学の代表作
哲学心理学歴史
この著作について
エリクソンが青年期マルティン・ルターの修道院体験と宗教改革への道のりを精神分析の手法で読み解いた評伝的研究である。原題は『Young Man Luther: A Study in Psychoanalysis and History』、1958年刊。
【内容】
父との葛藤を抱えたまま修道士となった若き日のルターが、塔の体験を経て「信仰のみ」の確信に至る過程を、アイデンティティ危機の典型例として分析する。エリクソンは個人の心理発達と歴史的変革を結びつけ、神経症的苦悩がいかに新しい思想を生み出す力となるかを示した。父・教皇・神という権威像の重なりを解きほぐす筆致は精緻である。
【影響と意義】
本書によって心理歴史学(psychohistory)という方法が確立され、後のガンディー研究と並んで人格発達理論の到達点となった。アイデンティティ概念は心理学の枠を越え、社会学・歴史学・宗教学に広く波及した。歴史上の人物の内面を語る際の標準的な参照軸となっている。
【なぜ今読むか】
進路や信念をめぐって揺れる青年期の苦悩が、時代を変える力に転じうることを示す古典である。自分のアイデンティティをどう引き受けるか悩む読者に、危機を否定せず通過する道筋の手がかりを与える一冊だ。
著者
関連する哲学者と話してみる
