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他者のような自己自身

たしゃのようなじこじしん

ポール・リクール·現代

自己同一性を他者との関係のうちに基礎づけたリクール中期の主著

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哲学倫理

この著作について

ポール・リクールが1990年に公刊した、自己論と倫理学の大著。時間と物語に続く現象学解釈学の円熟期を示す著作で、「自己」を「他者との関係のうちで形成されるもの」として再構築した、20世紀末の倫理哲学の代表作である。

【内容】

全10研究。前半では言語分析哲学の方法で主語としての自己、行為の主体としての自己、語りのなかの自己を順次扱い、後半では倫理的主体としての自己に焦点を絞る。「良き生の目的」「義務の規範」「実践的知恵」という三層の倫理構造が、アリストテレスカントを統合しつつ展開される。書名の「Soi-même comme un autre」は、「自分と同じもの(idem)」ではなく「自分である同一性(ipse)」こそが真の自己同一性であり、それは常に他者を通じてしか成立しないという主題を端的に示す。

【影響と意義】

物語論・倫理学・生命倫理学・政治哲学に広範な影響を与え、承認論・ケア倫理・アイデンティティの哲学の出発点の一つとなっている。

【なぜ今読むか】

アイデンティティが多重化・流動化する現代、自己と他者の関係を原理的に問い直すための最良の手がかり。

著者

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