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一年有半

いちねんゆうはん

中江兆民《なかえちょうみん》·近代

喉頭癌の余命宣告を受けた兆民が書き下ろした最晩年の思想遺書

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哲学政治日本

この著作について

自由民権運動の理論家・中江兆民が1901年、喉頭癌で「一年半の余命」を告げられた直後に、猛然と書き上げた時評的エッセイ集。続篇続一年有半唯物論哲学を体系的に叙述し、兆民の思想的総括と遺書を兼ねる。

【内容】

正編は政治・社会・演劇・宗教・学問・食事など幅広い領域を自在に論じ、明治末期日本の制度と風俗を痛烈に風刺する。伊藤博文と山県有朋を比較する政治評、歌舞伎や漢学への批判的評価、「日本に哲学なし」の有名な断言など、短い章句に鋭い結論が凝縮される。続篇は「我が」と題された唯物論宣言で、霊魂・神・死後の世界を一切否定し、物質の運動のみを実在とする立場を提示する。

【影響と意義】

明治日本の知識人による最も率直な自国文化批判の一つとして、幸徳秋水・大杉栄ら後続の思想家に引き継がれた。日本哲学史における唯物論の系譜を検討する際の出発点。死を間近に控えた知識人の思考がどのような緊張を帯びるかという論点でも、後世の加藤周一・鶴見俊輔《つるみしゅんすけ》が繰り返し参照した。

【なぜ今読むか】

近代日本の思想的自己吟味の原型として、いまも政治評論・文明批評のモデルとして読む価値がある。短く切れ味のよい章立てなので、通勤時間の拾い読みにも向く。

著者

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