自
『自然について』
しぜんについて
ヘラクレイトス、パルメニデス·古代
同じ題で伝わる、ヘラクレイトスの散文とパルメニデスの教訓詩の断片
哲学
この著作について
紀元前6世紀末から前5世紀前半の初期ギリシアの二人の哲学者、エフェソスのヘラクレイトスとエレアのパルメニデスが、それぞれ『自然について(ペリ・ピュセオス)』と題して書いたとされる断片的著作の総称。いずれも原本は失われ、後代の著作家の引用として伝えられる断片群として研究されている。
【内容】
ヘラクレイトスの『自然について』は「同じ川に入る者には次々と別の水が流れる」「戦いは万物の父である」など、逆説と深い隠喩を孕んだ130ほどの断片が現存し、ロゴスと対立の調和を主題とする。一方パルメニデスの『自然について』は韻文の教訓詩で、「あるもの(エオン)はあり、ないものはない」と宣言し、変化と多を認めず、永遠の一なる存在のみを真理とする立場を確立する。この両者は、以後の西洋形而上学全体を貫く「動と静」の対立の原点を成している。
【影響と意義】
プラトンの『ソピステス』『テアイテトス』から、現代のハイデガーの初期ギリシア哲学論考まで、両者への回帰は哲学史上繰り返されてきた。もっとも、二人を「動と静」の対立として描く見方そのものには、研究者のあいだで異論もある。
【なぜ今読むか】
「変化とは何か」「存在とは何か」という問いの最も古い定式の一つを、断片として直接味わえる稀有な古典。

