中
『中江兆民《なかえちょうみん》評伝』
なかえちょうみんひょうでん
松永昌三·現代
兆民研究の第一人者による決定版評伝
哲学
この著作について
『中江兆民全集』の編者として知られる松永昌三が、長年の研究成果を結集した中江兆民の決定版評伝である。岩波書店から1993年に刊行され、のち2015年に岩波現代文庫上下巻として再編された。
【内容】
兆民は資料の散逸が激しく、伝記研究には多大な困難が伴う人物である。本書は残された書簡、新聞論説、議会議事録、同時代人の証言を丹念に突き合わせ、土佐の貧しい足軽の家に生まれた少年がフランス留学を経て「東洋のルソー」と呼ばれるに至る歩みを再構成する。自由民権運動の挫折、議員辞職、北海道での事業失敗、咽頭癌の宣告と『一年有半』の執筆。波乱の生涯を、操守ある理想家として終始描き切っている。
【影響と意義】
本書は明治思想史研究の標準文献として、植手通有や宮村治雄ら以降の兆民研究の基盤となった。日本近代における政治思想と翻訳の関係を考えるうえでも欠かせない一冊である。
【なぜ今読むか】
民主主義への期待と幻滅が交錯する現代において、自由民権の挫折を生き抜いた知識人の精神史は、政治への関わり方を考える糧となる。岩波現代文庫版で入手しやすくなった点も大きい。
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