省
『省察』
しょうさつ
デカルト·近代
デカルトがすべてを疑い「我思う、ゆえに我あり」に到達した近代哲学の出発点
哲学
この著作について
デカルトがあらゆる知識をいったん疑い尽くし、そこから哲学を建て直そうと試みた近代哲学の記念碑。
【内容】
六つの「省察」という一人称の思索日記の形式で進む。感覚は欺くかもしれない、今この瞬間が夢かもしれない、さらには悪意ある欺く霊が私の思考をまるごと騙しているかもしれない、と疑いを極限まで押し進めた末、「疑っている私は確実に存在する」という一点にたどり着く。コギト(われ思う、ゆえにわれあり)の発見から、神の存在証明、明晰判明な観念の規則、物体的世界の実在、心身の区別へと段階的に再建していく。末尾には同時代の神学者・哲学者たちによる反論とデカルト自身の答弁が付されている。
【影響と意義】
伝統的な権威に頼らず、一人の思考者の内省から世界像を再構築したという点で、近代哲学の出発点とされる。スピノザ・ライプニッツ・カントからフッサールに至るまで、この書を乗り越えるか引き継ぐかがヨーロッパ哲学の主要な課題となった。心身二元論の原型としても、心の哲学の議論の起点であり続ける。
【なぜ今読むか】
フェイクや生成AIが現実感を揺さぶる時代に、「自分は何をもって確かと言えるか」をゼロから組み立て直す手つきを追体験できる。疑いの作法を身につけるための、なお新鮮な一冊である。