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『ウィンダミア卿夫人の扇』
うぃんだみあきょうふじんのおうぎ
オスカー・ワイルド·近代
貞淑な妻と謎の女の対比を描いたワイルド劇作家としての出世作
文学
この著作について
オスカー・ワイルドが1892年にロンドンで初演した四幕の社交喜劇。ワイルドが劇作家として本格的に成功した出世作であり、彼の「風俗喜劇」四部作の第一作。
【内容】
貞淑な若妻ウィンダミア卿夫人は、夫が謎の女性ミセス・アーラインに多額の送金をしていると知り、嫉妬と疑念のあまり家を飛び出そうとする。しかし実はアーラインは彼女を産んですぐ失踪した実母であり、娘の名誉を守るために自らの過去を隠し通すことを選ぶ。「経験しか知らない女」と「理想しか知らない娘」の対話を通じて、道徳的善悪を単純な二元で裁くことの愚かさが描かれる。誕生日プレゼントの扇が全編の象徴として機能する。
【影響と意義】
ワイルド一流の警句と逆説が冴え、『ドリアン・グレイの肖像』の観念的耽美と並ぶ、彼の「生きた会話の哲学」の結晶となっている。『真面目が肝心』『サロメ』へとつながる喜劇作家ワイルドの出発点。
【なぜ今読むか】
道徳的レッテル貼りがSNSで一瞬にして人の人生を左右する現代、「善人と悪人の境界」を優雅に揺さぶる本作は古びない。
著者
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