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ドリアン・グレイの肖像

どりあん・ぐれいのしょうぞう

オスカー・ワイルド·近代

美と道徳の関係を問うワイルドの唯一の長編小説

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文学

この著作について

十九世紀末のイギリスを代表する作家オスカー・ワイルドが、美と悪徳、芸術と人生の関係を問い直した唯一の長編小説。

【内容】

物語は、類まれな美貌を持つ青年ドリアン・グレイが、画家バジル・ホールウォードの描いた肖像画の前で「自分はこのまま歳を取らず、肖像が代わりに年齢と罪を引き受けてほしい」とつぶやく場面から動き出す。やがて貴族ヘンリー・ワットン卿の享楽主義的な教えに染まったドリアンは、若い女優シビルへの残酷な仕打ちを皮切りに、次々と背徳の人生に沈んでいく。彼の姿は若く美しいまま保たれ、屋根裏に隠された肖像画だけが日々醜く歪んでいく。最後、良心の呵責から肖像画を刺した彼自身が、老いと罪の痕跡を帯びた死体となって発見される。

【影響と意義】

耽美主義・デカダンス文学の代表作として、公刊当時の検閲とスキャンダルを経ながらも、モダニズム文学、映画、大衆文化、ホラー・サスペンスに強い影響を与えた。芸術と道徳の関係、芸術の自律性をめぐる議論の古典的テキストであり続けている。

【なぜ今読むか】

SNSでの若さや見た目の消費が際立つ時代にこそ、本書の「若さと美を永遠にしたい欲望の代償」という主題は鮮烈に響く。警句に満ちた知的な対話と、ゴシック的な恐怖が絶妙に交錯する、読む者を鏡の前に立たせる一冊である。

著者

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