鏡
『鏡子の家』
きょうこのいえ
三島由紀夫·現代
戦後日本の虚無を四人の若者で描く長編
哲学文学日本文学
この著作について
【内容】資産家の令嬢・鏡子のサロンに集う四人の若者、エリート社員、ボクサー、画家、俳優の生き方を交互に描いた長編小説である。三島由紀夫が約一年三か月をかけて書き下ろし、1959年9月に新潮社から第一部・第二部同時刊行された。戦後日本に蔓延する虚無感と崩壊の予感を、四つの典型的な人物像に分散させて描き出した実験的構成をとる。
【影響と意義】刊行当時、文壇からの評価は厳しく、三島本人にとって挫折の体験となった作品でもある。しかし後年、戦後社会の精神的空洞を多角的に捉えた野心作として再評価が進み、『金閣寺』と『豊饒の海』を結ぶ思想的中継点と位置づけられている。三島の「行動」への傾斜が顕在化していく転機の作品として読むことができる。
【なぜ今読むか】豊かさの中の空虚という主題は、現代日本にもそのまま重なる。複数の人物に虚無を分散させる構成は、現代の自分が何者かを問い直す読者に、四つの異なる応答の可能性を提示する。
著者
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