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古寺巡礼

こじじゅんれい

和辻哲郎《わつじてつろう》·現代

奈良の古寺を巡り日本美術の精神を読み解いた紀行随想

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文化宗教

この著作について

1919年刊。若き和辻哲郎《わつじてつろう》が奈良の古寺を友人と巡った体験をもとに、日本美術と仏教文化の精神性を瑞々しい筆致で語った紀行随想。和辻の文体と思想を決定づけた出世作である。

【内容】

本書は法隆寺・薬師寺・東大寺・興福寺・唐招提寺などを訪ね歩きながら、仏像や伽藍の造形に刻まれた古代人の宗教感情を読み解いていく。ギリシア彫刻・インド美術・中国仏教美術との比較を自在に交差させ、飛鳥・白鳳・天平という時代区分ごとに美の性格を描き分ける。梅原猛《うめはらたけし》以降の古代日本論の先駆であり、同時に著者がのちに風土倫理学で展開する「人間の学」の萌芽でもある。百済観音の微笑や東大寺戒壇堂四天王像の前での長い沈黙など、具体的な作品との出会いが豊かに記される。

【影響と意義】

奈良ブーム、文化財への関心の高まりを喚起し、戦後の「日本美」を語る文体の雛型を作った。三島由紀夫・白洲正子《しらすまさこ》ら後続世代の文化随想にも決定的な影響を与えている。

【なぜ今読むか】

仏像を前に立ち止まる感覚を言葉にする手本として、旅の供にも読書の友にもなる古典である。

著者

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