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倫理学

りんりがく

和辻哲郎·現代

和辻哲郎が「間柄」を中心概念に展開した独自の日本哲学的倫理体系

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哲学

この著作について

京都学派を背景に育った倫理学者・和辻哲郎(わつじてつろう)が、戦前と戦後にまたがって書き継いだ全三巻の大著で、日本哲学による倫理学の本格的体系化。

【内容】

和辻は出発点で「人間」という語を「人の間」と読み直し、個人を独立した主体としてではなく、他者との関係のなかに現れる存在として捉える。この「間柄(あいだがら)」の概念をもとに、信頼・愛・怒りといった感情、家族、友情、地域共同体、経済組織、国家、世界共同体といった各水準の倫理的構造が順に分析される。風土論・言語論・身体論と倫理学を縦に貫く構成になっており、西洋の個人主義的倫理学やカント義務論への応答が随所に差し挟まれる。記述は現象学の手法と儒学の古典の双方を自在に参照して進められる。

【影響と意義】

戦前から戦後にかけて書かれたため、国家論の取り扱いに歴史的課題を抱えつつも、日本語で書かれた最も体系的な倫理学として現在も参照されている。比較倫理学、共同体論、ケアの倫理の議論に、日本哲学からの独自の寄与を提供している。

【なぜ今読むか】

自己責任論と個人の権利の語彙が強い時代に、「人は関係のなかに初めて人になる」という出発点から倫理を組み立て直す本書は、孤立と分断に抗する思考の足場を提供する。家族・職場・地域をめぐる倫理を考え直す手引きとして、なお生きた古典である。

著者

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