ケ
『ケインズ』
吉川洋·現代
吉川洋によるケインズ思想の平明な解説書
経済
この著作について
マクロ経済学者の吉川洋《よしかわひろし》が、二十世紀を代表する経済学者ジョン・メイナード・ケインズの生涯と思想を平易に語り直した新書。
【内容】
本書はケインズの出自、ケンブリッジでの師ピグーや友人ラムゼイとの交流、ブルームズベリー・グループとの知的共同体、ヴェルサイユ会議での『平和の経済的帰結』発表までを辿る。次いで、世界恐慌下で書かれた主著『雇用・利子および貨幣の一般理論』の核心が、有効需要の原理、流動性選好、動物的精神、貯蓄と投資のずれ、財政政策の役割といった概念群とともに平易に解説される。最後にブレトン・ウッズ体制の設計、晩年の金融論、戦後ケインズ主義の受容と挫折、そしてリフレ政策や日本の長期停滞の議論まで射程が広げられる。
【影響と意義】
ちくま新書として長く版を重ね、日本語で書かれたケインズ入門のもっとも信頼できる一冊となっている。著者自身が日本のマクロ経済政策論の中心にいるため、ケインズ思想を現実の政策論と結びつけて読める点にも強みがある。
【なぜ今読むか】
デフレ、ゼロ金利、財政赤字、金融緩和といった現代日本のキーワードは、いずれもケインズ的枠組みから派生した議論である。ニュースの経済論争の背景を腰を落ち着けて理解するための頼れる案内書となる。