平
『平和の経済的帰結』
へいわのけいざいてきききけつ
ケインズ·近代
ヴェルサイユ条約の過酷な賠償が招く破綻を予言したケインズ初期の警告書
哲学経済政治
この著作について
ジョン・メイナード・ケインズが1919年に公刊した政治経済論。第一次世界大戦後のヴェルサイユ講和会議に英国代表団員として参加したケインズが、会議に失望して辞任し、その見たままを書き上げた警告書。
【内容】
ケインズは、連合国がドイツに課した巨額の賠償金と領土割譲は経済的に実行不可能であり、欧州全体の繁栄と平和を破壊するだろうと警告した。クレマンソー(フランス)、ロイド・ジョージ(英国)、ウィルソン(米国)という主要4人の首脳を鋭く人物評し、会議の政治的駆け引きが経済的現実を無視したことを暴露する。結論として、賠償の現実的減額、ドイツ復興のための国際借款、貿易再開による相互依存の回復を提案した。
【影響と意義】
本書は世界的ベストセラーとなり、ケインズを国際的知識人として知らしめた。予言通りドイツはハイパーインフレと政治不安に陥り、やがてナチス台頭とWWIIへ至る—この書の警告は悲劇的な形で的中したと歴史に位置づけられている。『一般理論』へと至るケインズ経済学の出発点となった。
【なぜ今読むか】
勝者が敗者に過酷な条件を強いることの経済的・政治的危険は、戦争終結後の国際秩序を考える際の永遠の課題である。