フィロソフィーマップ

人間学

にんげんがく

カント·近代

カントが人間の本質を経験的・実用的な視点から多角的に考察した著作

Amazonで見る
哲学

この著作について

イマヌエル・カントがケーニヒスベルク大学で長年続けた講義をもとに、晩年に刊行した唯一の『人間学』講義録。

【内容】

全体は実用的な観点から編まれ、第一部「認識能力」では感覚、想像力、記憶、判断、機知、狂気、ユーモアが取り上げられる。第二部「快不快の感情」では退屈、喜び、泣き、笑い、趣味、食欲や性愛などが、第三部「欲求能力」では情念、性格、気質、職業、男女差、国民性が論じられる。カントは人間を「動物の一種」としてではなく、「自由をもつ地上の存在」として、現実の観察と格言的逸話の積み重ねから描こうとする。批判哲学の厳格さとは対照的に、具体例と経験的な観察が豊かで、ときにユーモラスな筆致がうかがえる。

【影響と意義】

カント哲学全体を貫く「人間とは何か」という究極の問いに、実地の経験から答えようとした晩年の総括として読める。フィヒテヘーゲルの精神哲学、ヘルダーの人間学、さらにはフーコーの初期研究にまで影響を及ぼし、近代人間学・文化人類学の源流の一つに位置づけられる。

【なぜ今読むか】

三大批判書に踏み込むのは難しくとも、本書は日常の体験から始まるためずっと敷居が低い。気質や国民性、恋愛や食卓を哲学の眼で眺め直すカントの語り口は、自分自身の性格や感情を理解する手がかりになる。

著者

この著作で扱う問い

関連する哲学者と話してみる

Amazonで見る