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十住毘婆沙論

じゅうじゅうびばしゃろん

龍樹《りゅうじゅ》(伝)·古代

易行道と難行道を区別した大乗仏教の論書

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仏教哲学

この著作について

龍樹に帰せられる大乗仏教の論書で、鳩摩羅什による漢訳本のみが現存する。『華厳経《けごんきょう》』十地品の前半部分への注釈という形式をとる。

【内容】

菩薩が初地から第十地に至る修行の階梯を、戒・定・慧の三学を中心に論じる。本書を後世に決定的なものとしたのは「易行品」である。菩薩の修行には自力で諸難を超える「難行道」と、阿弥陀仏ら諸仏の本願に乗じて易々と不退転に到る「易行道」があるとされ、後者を称名念仏に結びつける議論が登場する。

【影響と意義】

この易行道・難行道の二門立ては中国の曇鸞・道綽を経由して日本の法然《ほうねん》・親鸞《しんらん》へと受け継がれ、浄土教の根本枠組みとなった。親鸞は教行信証で本書を頻繁に引用し、念仏一行の系譜の起点に据えている。

【なぜ今読むか】

仏教史において信仰と実践の関係がいかに転換したかを辿るうえで欠かせない一書である。

著者

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