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日本的霊性

にほんてきれいせい

鈴木大拙《すずきだいせつ》·現代

日本人の宗教意識の核に禅と浄土を見る大拙の代表作

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宗教哲学

この著作について

鈴木大拙《すずきだいせつ》が敗戦直前の1944年に大東出版社から公刊した宗教文化論。「霊性(spirituality)」という独自の概念を立て、日本人の宗教意識の底に鎌倉仏教、とりわけ禅と浄土思想が生きていると論じた、戦後日本の宗教論の出発点とも言える著作である。

【内容】

序論で、知性(intellect)や感情とは次元を異にする、主客未分のまま世界と出会う精神の層を「霊性」と定義する。この霊性が日本において最も豊かに結晶したのは平安仏教ではなく鎌倉期であり、親鸞《しんらん》の絶対他力と、道元《どうげん》・白隠の禅における「無心」が、日本人の精神の奥行きを決めたとする。あわせて神道に対する評価の厳しさ、武士道を霊性とは別物とする峻別《しゅんべつ》、民衆仏教の受肉の過程なども論じられる。

【影響と意義】

戦後日本の宗教学・比較思想・日本文化論の基本文献となり、丸山眞男《まるやままさお》、家永三郎、梅原猛《うめはらたけし》らがそれぞれの仕方で応答した。英文の禅と日本文化と対をなす、日本語原典側の代表作である。

【なぜ今読むか】

「知性と感情だけでは届かない精神の層」を名づけ直す概念の力を体験できる。現代の宗教・スピリチュアリティ論の地盤を確かめるための必読書である。

著者

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