易
『易経』
えききょう
古代
陰陽八卦の宇宙論を伝える古代中国の占いの書、儒教五経の一つ
哲学アジア
この著作について
古代中国に成立した占筮と宇宙論の書で、儒教「五経」の筆頭に置かれる。本来は周代の占いの書(『周易』)だったものが、陰陽・八卦・六十四卦という抽象的な記号体系を通じて世界の生成と変化の原理を語る哲学書として読み直され、東アジア思想の根本的な参照源となった。
【内容】
本文「経」は六十四卦それぞれについての卦辞・爻辞からなり、もとは占いの結果を解読するためのテキストである。これを哲学的に注釈した「十翼」(彖伝・象伝・繋辞伝・文言伝など七種十篇)が後世に付加されることで、占筮書から宇宙生成論・倫理論を内包する書へと変貌した。「易」は変化を意味し、陰と陽の二項の組み合わせから万物の動態を描く視点を提示する。
【影響と意義】
孔子が晩年に熱心に読んだと『論語』に記され、伝統的に十翼の作者は孔子に擬されてきた(厳密には不明)。宋代には朱熹が『周易本義』で再解釈し、理気論・太極論の哲学的基礎を易経に求めた。日本では古学派・水戸学・国学の思想家まで広く読まれた。西洋でもライプニッツが二進法の着想に触発され、ユングが共時性の概念を着想した。
【なぜ今読むか】
変化と関係性で世界を捉える発想は、固定的な実体論に偏った西洋思想を補完する補助線となる。記号と意味の関係を考える上でも、構造主義・記号論の先駆として再読の価値がある。
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