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人間的な、あまりに人間的な

にんげんてきな、あまりににんげんてきな

フリードリヒ・ニーチェ·近代

ワーグナーと決別しショーペンハウアー的形而上学を振り切った中期ニーチェの転換点

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哲学

この著作について

1878年刊。ワーグナーとの訣別、健康悪化、バーゼル大学辞職という危機のなかでニーチェが書いた中期の代表作で、箴言《しんげん》形式による鋭利な人間観察の集成。

【内容】

副題は「自由な精神のための書」。全638節が9部に分けられ、形而上学・道徳・宗教・芸術・社会・国家・女性と子ども・友情・孤独をめぐる短い断章が続く。ショーペンハウアー的な悲観哲学やワーグナーの芸術救済論への決別が随所に刻まれ、心理学的な「分析」が倫理の地位を奪う。憐れみ・同情・自己犠牲・「善良さ」の起源を疑い、「人間的な、あまりに人間的な」動機の暴露を通じて、後年の系譜学の方法が萌芽的に姿を現す。

【影響と意義】

リー・マルグナンをはじめとするフランスのモラリスト伝統(モンテーニュ、ラ・ロシュフコー)の継承であり、フロイト精神分析アドラーの個人心理学、フランクフルト学派の啓蒙批判の遠い源流でもある。

【なぜ今読むか】

社会の建前と個人の内面のずれに敏感な人なら、どの断章もそのまま心に刺さる。通読でも断章拾い読みでも機能する稀な哲学書である。

著者

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