フィロソフィーマップ

語孟字義

ごもうじぎ

伊藤仁斎《いとうじんさい》·近代

朱子学を解体し『論語』『孟子』の原義を再構成する古義学の主著

Amazonで見る
哲学倫理学

この著作について

伊藤仁斎が天和3年(1683)頃に成稿し、宝永2年(1705)に刊行した古義学の主著である。朱子学が独自に整備した鍵概念を一つずつ取り上げ、論語孟子本来の語義に立ち返って再定義する形式をとる。

【内容】

本書は「天道」「天命」「道」「理」「徳」「仁」「義」「礼」「智」「信」など25項目の鍵語を順に検討する。仁斎は朱子学の中核概念である「理」を、人倫から切り離された抽象原理だとして批判し、それに代わって「仁」を「愛なる徳」として具体的な人と人との関係の中に位置づけ直す。古典の語義に依拠しつつも、その読み直しを通じて新しい倫理像を提示する。

【影響と意義】

本書は荻生徂徠《おぎゅうそらい》の古文辞学に先立つ古義学の方法論を確立し、日本独自の儒学的思考を切り拓いた。子安宣邦の『仁斎学講義』に代表される現代の研究も、本書を中心テキストとして仁斎思想を再評価している。日本思想史において、外来思想を咀嚼し独自の概念世界へと組み替える典型例である。

【なぜ今読むか】

抽象的原理ではなく日常の人倫から倫理を立ち上げる仁斎の論は、共同体や関係性を再考する現代の倫理学に親近性を持つ。古典再読の方法論を学ぶための具体的な手本としても価値が高い。

著者

関連する哲学者と話してみる

Amazonで見る