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理論経済学の本質と主要内容

りろんけいざいがくのほんしつとしゅようないよう

ヨーゼフ・シュンペーター·現代

若きシュンペーターによる一般均衡理論の体系的紹介

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哲学経済学経済学史

この著作について

二十三歳のヨーゼフ・シュンペーターが一九〇八年に公刊した処女作。原題は Das Wesen und der Hauptinhalt der theoretischen Nationalökonomie。レオン・ワルラスの一般均衡理論をドイツ語圏に体系的に紹介し、後の経済発展の理論経済分析の歴史へとつながる方法論的基盤を据えた、若き経済学者の野心的著作である。邦訳は大野忠男・安井琢磨・木村健康訳で岩波文庫全二巻として一九三六年から一九三七年に初版刊行され、一九八三年に復刊された。

【内容】

本書は、ドイツ歴史学派の支配下にあった当時のドイツ語圏経済学に対して、純粋理論としての経済学の方法を打ち立てようとする。第一部で経済学の対象と方法、静態と動態の区別、経済均衡の概念を論じ、第二部以降でワルラス的な相互依存方程式体系を中心に、効用と交換価値、生産と分配、貨幣と資本、利子率といった主要範疇を体系的に扱う。シュンペーター自身は後年、本書を「方法論的処女作」と位置づけ、ここでの静態理論を踏まえて『経済発展の理論』で動態とイノベーション論を展開した。

【影響と意義】

本書はワルラス的均衡分析を非英語圏に普及させる役割を果たし、二十世紀ミクロ経済学の発展に橋を架けた。シュンペーター自身の発展論・企業家論・資本主義論を読み解くうえで、その理論的出発点として欠かせない一冊である。

【なぜ今読むか】

経済学が方法と対象をめぐって割れていた時代の知的緊張が、若い書き手の文体で凝縮されている。理論経済学の歴史を一冊の書物の内側から体験するための、得難い古典である。

著者

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