デ
『ディープ・エコロジーとは何か』
でぃーぷ・えころじーとはなにか
アルネ・ネス·現代
ディープ・エコロジー思想を体系化したアルネ・ネスの主著
環境哲学
この著作について
オスロ大学教授で「ディープ・エコロジー」概念の創始者アルネ・ネス(1912〜2009)が、英語圏向けに自らの環境哲学を体系化した『Ecology, Community and Lifestyle』(1989年、David Rothenberg 編訳)の邦訳。
【内容】
人間中心主義(シャロー・エコロジー)と対比される「ディープ・エコロジー」を、自然そのものに固有の価値を認める哲学的立場として体系化する。スピノザの汎神論、仏教の縁起《えんぎ》、ガンディーの非暴力思想を独自に統合した「エコソフィーT」の理論的骨格、人間の自己を共同体・生態系へと拡張する「自己実現」概念、その実践として個々人が自前の環境哲学(ecosophy)を構築する方法論を提示する。第二部では具体的な政治運動・ライフスタイル選択への応用が論じられる。
【影響と意義】
本書はディープ・エコロジー運動の理論的基盤として、世界中の環境哲学・環境倫理学の議論で参照されてきた。ハンス・ヨナス『責任という原理』とともに、二十世紀後半の環境倫理学の二つの主柱の一つとされる。1980年代以降の環境政治運動、生命中心主義、エコフェミニズム、後のラトゥール『地球に降り立つ』のような議論にまで遠く影響を残している。
【なぜ今読むか】
気候危機の倫理的根拠を「人間のため」を超えて根源的に問い直すための、最も体系的な哲学的枠組みを示す古典である。