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責任という原理

せきにんというげんり

ハンス・ヨナス·現代

ヨナスが技術文明時代の世代間倫理を体系化した著作

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哲学

この著作について

ナチスを逃れてアメリカに亡命した哲学者ハンス・ヨナスが、原子力、遺伝子工学、環境破壊の時代にふさわしい倫理の原理を体系的に提示した代表作。

【内容】

ヨナスはまず、カントの道徳法則やアリストテレス徳倫理といった従来の倫理学が、「現在の同時代人どうしの関係」しか射程に入れていなかったと指摘する。現代の技術は、未来世代や他の生物、地球環境にまで時間的・空間的に巨大な影響を及ぼしており、その力に対応する新しい倫理が必要だと論じる。そこから彼は、「人類が存在し続ける可能性を危うくするな」という、未来への責任を第一原理に据える倫理を提唱する。豊富な章で、予防原則、恐れを知ることの義務、ユートピアの誘惑への警戒、マルクス主義とテクノロジーの関係、遺伝子操作の問題が扱われる。

【影響と意義】

本書はドイツ環境運動、予防原則の国際法への導入、生命倫理・技術倫理の議論に決定的な影響を与えた。世代間正義、気候正義、AI倫理などの現代的論点の根底にも、ヨナスの「責任の原理」は受け継がれている。

【なぜ今読むか】

気候変動やAIの暴走をめぐる論争のなかで、「私たちは未来世代に何を残してよいのか」という問いは、避けることができない。この問いを最初に体系的に言語化した書物として、本書は今こそ再読に値する。

著者

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