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『ドストエフスキーと父親殺し』
どすとえふすきーとちちおやごろし
ジークムント・フロイト·現代
『カラマーゾフの兄弟』を精神分析的に読み解いたフロイトの晩年の論文
文学心理学
この著作について
1928年発表。フロイトが『カラマーゾフの兄弟』ドイツ語新版の序文として書き下ろした論文で、精神分析を文学批評に応用した代表的仕事のひとつ。
【内容】
本書はまず、ドストエフスキー自身のてんかん症状、父との葛藤、ギャンブル癖、政治的転向、信仰への回帰などを取り上げ、作家の人生に潜む父親への両価感情(アンビヴァレンス)を析出する。続いて、『カラマーゾフの兄弟』の父殺しの筋立てを、シェイクスピア『ハムレット』、ソポクレス『オイディプス王』と並べ、西洋文学を貫く「父殺しの三大傑作」として位置づける。犯行者ではなく同じ動機を抱く全員が罪を分かち持つという読みが、エディプス・コンプレックスの文学的展開として示される。
【影響と意義】
精神分析文学批評の古典として、バフチン、ラカン、クリステヴァらのドストエフスキー論に深い影響を与えた。また、作家論の限界と可能性をめぐる論争の起点でもある。
【なぜ今読むか】
家族のなかに潜む愛憎のもつれを、文学と精神分析の両方から覗き込む手際は、今も刺激的である。
著者
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